おいしいダシの取り方を今一度科学的に考えて見ましょう

 

※このページは節辰商店が昭和62年に作成した小冊子「おいしいダシの取り方を今一度科学的に考えてみましょう」から転載しています。

 

目次

全文 | はじめに | だしの種類 | 使用する水の量 | だしの取り方 | 緩衝作用と相乗効果 |だしの使用量 |

蒸発 | 天然調味料と化学調味料の違い附記 きしめん・味噌煮込みの調理法 参考文献 |

 

 

だしの使用量

お店により多少の相違はありますが、昔から1斗(18ℓ)に200匁(750g)が標準とされております。現在もその通りで結構ですが、ダシの量について実験結果がありますので次に表示いたします。

 

お茶の水女子大 吉松藤子先生の実験

1ℓ(約5合)の水に対してダシ20g(2%)  アミノ酸溶出量1

1ℓ(約5合)の水に対してダシ40g(4%)  アミノ酸溶出量1.6

1ℓ(約5合)の水に対してダシ80g(8%)  アミノ酸溶出量2.5

 

三段階について調べたところ2%では旨味がやや薄く、8%では濃いしぶ味が感じられ、4%が一番おいしい結果が出ました。二番だし、三番だしを取ることも言われますが、科学的に測ってみても二番だし以下は、ほとんど旨味成分は出ません。

 

うどん、そばのだしは料理屋さんの薄削り違い厚削りですので、長く煮沸を続けて頂きますが、東京のそば屋さんのかつお節類ですと長い時間(30分~2時間)煮沸を続けて、「そばの香りを一番大切にするため。鰹の香り、醤油の香りを無くした方が良いのですが(ざる、もりで食べるときは、つけて引き上げるのですから、つゆは「よくそばにからんでくれる」濃厚な味が必要です)


それに対し名古屋方面は「吸い物の中にうどんが入っている」のを食べる「かけ」ですので、だしは香りを大切にする訳であります。

 

宗田節、鯖節(鰹節)を使用する時は20分~長くても30分・40分位で良いと思います。

 

尚、風味を大切にするため、出来立てが美味で、その日のうちに用いるようにしてください。
だしを出すときは沸騰したら、だしを入れだしが釜の中を平均にゆるやかに回る位の火加減にして丁寧にアクを取りながらだしを出して頂かないと生臭みが残ります。また、東京のそば屋さんでは寸胴で火加減を弱くして長い時間つめる(煮出す)方がだしの出方が良いような気がする・・・と書いてあります。しかし、平釜で取った汁の方が、あたりが柔らかい感じがします。こうしたことは科学的な裏付けが無いから、やはりカンかもしれません・・・(そばの技術)