自慢のだしを商品化。客単価UPだけでなく通販事業にも参入。『個包装だしパック』

※この事例は顧客情報への配慮から、一部のディテイルを変更して紹介しています。

イントロダクション

客単価×客数×回転数。そば・うどん店にとってのわかりやすい方程式かもしれません。しかし、客単価が飽和状態にある時、どのような手を打つべきでしょうか。このお店の自慢はつゆ。しかし、厨房でたいたつゆを瓶に詰めてもそのままでは衛生面・保存性の面で商品としては成立しません。可能な限り自店の味を再現しながら、きちんとした商品として仕上げること。課題を達成したお店は店頭売りによる客単価アップに成功し、さらに通販サイトも立ち上げました。

 

お悩み ―繁盛店ゆえのお悩み

そのお店はいわゆる繁盛店でした。客席20席は昼夜合わせて810回転。天ぷら等のサイドディッシュの品揃えも怠らず、客単価も1,000円を越えるレベルでした。「そろそろ次の出店を」と考えていました。成功によって自信がついたので、せっかくならば次はもっと大型店を出店したいとも考えています。そのために現在の店舗の売上を上げ、盤石の体制を築きたい。しかし、客単価×客数×回転数ともこれ以上増やすのは難しい状況です。

 

きっかけ ―ストアコンパリゾン(競合店視察)

出張中に地方の有名高級チェーンを視察しました。店主は「お持ち帰り」に注目します。幸い自分の店舗は自家製麺を行っています。これにつゆを合わせれば商品として成立しうる。ここから店主の試行錯誤が始まります。まずは機械を買って自分の店のつゆを充填することを考えましたが、衛生面で課題があることがわかりました。店舗の外で消費者の口に入る商品である以上、ある意味工場製品としての完成度が求められます。しかし、市販の希釈タイプのつゆを使った商品を店の看板で売ることには抵抗がありました。味の再現もできませんでした。

 

解決策 ―個包装だしパック

店主は発送を転換します。完成品を提供しようとするから、話がややこしくなってしまう。保存可能な調味料を使って各家庭で調理すれば、衛生面はクリアできるし、料理の過程で店へのロイヤリティが高まるのではないか。そこで、だしとかえしを別々に提供することにしました。節辰商店は家庭用だしパックを40年作り続けており、またギフト会社等との付き合いも多くありました。それゆえ、だしパック1包を個包装する装置も持っています。また、かえしの子袋も生産可能でした。

その後 ―新規事業の芽

この商品は他所にはない商品であるという信念のもと強気の単価設定を行いました。それでも月ベースで300食はコンスタントに販売されています。成功を受け、試験的に通販サイトも立ち上げました。次の店舗でもこの商品が活躍してくれることを期待しています。