おいしいダシの取り方を今一度科学的に考えて見ましょう

 

※このページは節辰商店が昭和62年に作成した小冊子「おいしいダシの取り方を今一度科学的に考えてみましょう」から転載しています。

 

目次

全文 | はじめに | だしの種類 | 使用する水の量 | だしの取り方 | 緩衝作用と相乗効果 |だしの使用量 |

蒸発 | 天然調味料と化学調味料の違い附記 きしめん・味噌煮込みの調理法 | 参考文献 |

 

 

だしの取り方

1.かつお節等薄削り

 

料理屋さん等の澄汁は、薄く削ったかつお節を沸とう直前に入れ、ひと煮たちさせたら(約12分程度)火を止めてこしわけて下さい。尚、加熱する時は、魚臭を飛ばす為必ず鍋の蓋を取って下さい。


溶けだすアミノ酸類を科学的に測ってみますと、加熱に一分間浸すだけで殆ど完全においしい成分が出てしまいます。

 

また、水から入れた方が沸とう直前に入れたものよりわずかにアミノ酸の溶けだす量は多いのですが、生臭味が強くなります。一分以上だたせると苦みやしぶ味など不用の成分が出てきます。
尚、麺類店の厚削りの場合は長く煮詰めますが(エキス分の溶出が充分出る様にする為)その間にいやな味のもとである「アク」を十分に除去してください。(泡、アクは生臭味、渋味、エグ味等が有ります)

 

2.ささ削(目近、惣田節)むろ、さば削り(鰹節、鯖節)

 

薄削りの澄汁は1.に準じてご使用ください。

 

但し厚削りの場合は、薄味の料理は、5分~10分見当、麺類のだし汁は、15分~30
それ以上ですと容器の種類により違いますが、水が蒸発してダシの量が少なくなり、呈味は強く感じられますが、同時にしぶ味や魚臭が強く感じられます。なお、その上旨味がダシガラに吸着されますので、効率も悪くなります。だしが出ましたらなるべく早くこしわけること、もし手順の都合でしばらく放置する場合には、食塩を必ず一つまみ入れてください。浸透圧の関係で溶け出たうま味成分が再吸収されるのは多少おさえられ、うま味が保持されます。(こつの化学)