おいしいダシの取り方を今一度科学的に考えて見ましょう

 

※このページは節辰商店が昭和62年に作成した小冊子「おいしいダシの取り方を今一度科学的に考えてみましょう」から転載しています。

 

目次

全文 | はじめに | だしの種類 | 使用する水の量 | だしの取り方 | 緩衝作用と相乗効果 |だしの使用量 |

蒸発 | 天然調味料と化学調味料の違い附記 きしめん・味噌煮込みの調理法 | 参考文献 |

 

 

使用する水の量

天然調味料の香気並に呈味性成分流出曲線
天然調味料の香気並に呈味性成分流出曲線

鉄分・カルシューム・マグネシュームの多い硬水、殺菌用の塩素・酸類・食塩なども重大な影響を及ぼします。たとえば、水に鉄分・カルシューム分があると、これらの金属が蛋白質やアミノ酸など旨味の主体となる成分と結合して旨味成分を溶けにくくします。

 

また、食品の色素などは鉄分と化学反応をおこし、料理の色がきたなく黒ずみます。最近では浄水器(活性炭ろ過水等)を使用されるお店が多くなって来ております。

尚、水道水はカルキを含んで居りますので、香りばかりか旨味も減る様です。くみ置きの水の方がだしらしい風味がある様です。

 

  1. かつお節の香り
    かつお節の風味をよくしているものに香りがあります。香気は、かつお節製造工程中に行われる燻乾の時も吸着される成分からくる香気、かびの持つ脂肪分解酵素により生成された香気、赤脂肪と同様かびによって生成された蛋白質に由来する香気の三者が、かつお節特有の香りを形成しますが、香りの成分は揮発性ですから、短時間の過熱で大部分発散してしまいます。

  2. 流失速度
    原料の削った厚みにより多少流出は異なります。かつお節だし汁のうま味の主役は、イノシン酸を中心とする核酸関連物質及びアミノ酸類である(新調味科学講座6)と書いてあります。削節のJAS規格も味の濃さをあらわす残エキス(塩分を差引した)の測定を、法定純エキス分として、味を下記の通り規定しております。

 

JAS規格 法定純エキス分

かつお削りぶし 13%以上

まぐろ(鮪)ぶし 12%以上

目近削りぶし 12%以上

さば削りぶし 11%以上

むろあじ削りぶし 10%以上